喪女の結婚

あるいは幽霊を見ないこと

牡蠣食えば

異様に牡蠣が食べたくて、スーパーを巡って終わりかけの牡蠣を入手した

牡蠣が美味しい。牡蠣が美味しい。財布の中身がすっからかん。

それでも酒を買い、牡蠣を買い、黒パンを買う。レジで会計が足らなくて商品を一部返した。恥ずかしかったが、厚顔無恥であった。

牡蠣は許しの味がする。貝類は慎ましやかでありながら、優美で淫靡である。

ヴィーナスが生まれたのも精子の飛沫でありながら真珠は彼女の象徴である。

なんかそういう、力みたいなものを牡蠣に感じる・・・

訳ではなく、単に貝類が異様に食べたくなった。

買いすぎて、消費期限ギリギリになって欲しくもないのに胃に入れてしまった。

罪悪感というか、加熱したけどあまり体調が良くないから当たったらどうしようという気持ちが増すのだ。

結婚した隣の課の女が憎い。離婚して結婚して、なんで?私はできない間になんでそんなのくるくる繰り返しちゃえるの?正直にくいのだが。そういうことを考える自分が嫌だ。積立金がお祝い金となって、かなりバブリーな額が渡されるので、私の給料から差っ引かれたものが、と卑しい根性を発揮しだすのであった。

本当に私は性根が卑しくって、というのも自分が満たされないからだ。幸せになりたいな。十分幸せだけど、本当に欲しいものをもう一つだけ望んでもバチは当たらないでしょうか。

生き霊男は牡蠣が好きだ。彼と私の好みは結構似ているのだ。ドライフルーツも好き、お酒も好き、私は彼が好き。でももし、万が一天地がひっくり返って、生き霊男を手に入れたとして、私は彼に何ができるのだろうか。悲しい。多分、手に入れるとそれはそれで悲しい。生き霊男はいい匂いがした。