喪女の結婚

あるいは幽霊を見ないこと

喪とは失われたものであるのだ

喪女とは、すでに失われた女であり、喪に服す女である。あるいは、女であることを喪に服している。生きながら死んでいる。死にながら生きている。

なぜ生きているのだろうかと無意味で不謹慎なことを考えている。人間の営み。ショッピングモールに大量の服屋と服屋と服屋ばっかりで生きていくことに疲れるよ。それらの中を通るだけでしんどくなるよ。正解を探しているからなんじゃないんでしょうか。より正しい選択肢、より正しい選択肢などないのに、より正しい選択肢を探してしまうのだ。ショッピングモールのアイス屋で、トリプルアイスを食べた。コーンって言いたかったのに、コーンを指差してカップって言ってしまって、カップで来てショックだった。悔しかったので、別のアイス屋に入ってコーンのアイスを頼んだ。アホか。

喪女がデパートの化粧品カウンターへ行くと、こうなるという一つの事例を書き留めておく。

なんかもう、最初から被害妄想丸出しで、こいつは私を見下しているっていう敵意がむき出しになってしまった。ものすごくつかれていて、そういう状態でデパート行くなよって思うけど、そういう時だから身綺麗にして乗り切りたかったのだ。

しかしながら、カウンターに座ってから、今の気力では化粧なんてできる状態ではない、最低限必要なものを買うべきだみたいな考えになってしまって、ちょうど日焼け止めが切れていたのもあり、BBクリームを購入してしまった。下地とファンデも出してもらったけど、それらを頑張る元気はありませんでした。そしたら、「楽な方を結局選んだんですね笑」って言われたのが地味にきつくて、違うんだよ、楽になりたいんじゃなくってそれしかできない精神状況なんだよしんどいんだよバーカって思いました。

そしたらめちゃくちゃ泣けてきて、向こうも何で泣いてるのかわからんから頭おかしいやこの人みたいな目線で見てきて、やっぱり精神状態がおかしいときにカウンターへ行くべきではないと思いました。

そのあと、ぐるっと回って落ち着いたので、今度はハイブランドで一式入れ替えたら気合が入るんじゃないかと言う考えが頭をもたげてきて、ディオールのカウンターへうかうか入ってしまったら、今後の店員さんはすごく優しくて、優しいながらも的確だったので、なんかまた泣きそうになってしまって途中で逃げ帰ってしまった。

そのあとさらに別のデパートでさっき敗残したBBクリームのブランドにもう一回言って色々買ったけど買った後に大いなる無駄遣いやってことに気がついて泣きそうになった。

バカじゃないか。タッチアップしてもらってウキウキで帰ったけれど、鏡を見たら化け物に化け物の化粧をした怪物が鏡の中にいて、慌てて化粧を落とした。すごく気持ち悪かった。デパートの照明だったから綺麗に見えたのだろうか。あちらでは幻想を売っているのだ。

喪女が化粧して何の意味があるのか?人間に苦労して擬態して何の意味があるのか?体を不快に痛めつけて何の意味があるのか?もうひたすら惨めで泣くしかなかった。

生き霊男のことを未だに諦められない。諦めることを諦め始めた。バカ女でいいじゃん。バカ女でいい、怪物でいい、デブスでいい、結婚しなくても子供産まなくてもいい、はあいいじゃん何だよこれが動物の世界だったら自然淘汰されていた生き物が生きているんだ人間の世界だからって思うと、生物多様性の観点から私が私を守らなければいけないと思いました。

また、徹夜明けでMRI行ってきたら腫瘍が見つかった。急ぎではないが取らないといけないらしい。入院したことないから、入院という響きに意味もなくウキウキする。危機感がないのだ。でも家族に頼れないから、一人で手続きするとなると同意書とかどーすんの?って戸惑う。ググると、このサイズの腫瘍は手術せずに様子見するといったことが書かれていて、あーどうすんの。とりあえず仕事しないで済むなら嬉しいけど、一週間なるべく連休挟もうとしている自分が社畜精神丸出しだなって泣けた。